あの看板を見ると「歯医者さんへ行こう」と背中を押される

毎日通勤で利用する電車。
そして到着駅までに停車をする駅。
この駅は大きな駅で、特急列車が追い越すために私が乗車をする電車を追い越していきます。
特急電車を待ち合わせる間、じっと電車の中に立って外を眺めています。
そしていつも同じ電車、乗車をする場所もだいたい同じ。
そして眺める景色も同じです。
窓の外には大きな看板がいくつも並んでいます。
自動車学校の看板、地元お醤油屋さんの看板、スーパーの看板、眼鏡屋さんの看板、そして歯医者の看板です。
私が立つ位置から見えるのは歯医者さんの看板です。
私の好きな水色と白をベースとした看板。
さわやかでそして優しい印象のあるその歯医者さんの看板。
その看板を見ると、朝のしんどさから解放されるような気がします。
その看板を見るためになんとなく、毎日同じ乗車位置なのかなと自分でも考える時があります。

ある時、なんだか歯がうずきました。
定期的に歯医者さんに行くようにはしているけれど、仕事と家事、育児と毎日忙しい私。
仕事が休みの日だってやることはたくさんあります。
自分のための時間はあまりありません。
掃除だってしなくちゃ、買い物にも行かなくちゃ、子どもたちの習い事だってあるし…日々ばたばたです。
でも歯がなんとなく痛むような、うずくような…。
毎日通勤電車で見ている看板。歯医者さんの看板。

毎朝のしんどさから解放されるような気分になっていた歯医者さんの看板。
でも、歯がうずくようになってからというと、その看板を見ると歯が痛み出すような錯覚を覚えます。
さわやかで優しい歯医者さんの看板が「歯医者さんに早く行ったほうがいいよ」「たまには自分のために時間を使ってよ」「歯医者さんで待ってるからね。早く来たらすぐに治るよ」そんな風に語りかけているように感じました。
これは、早く歯医者さんに行ったほうがいいってことだよね。
そう思い、歯医者さんを予約しました。
子どもたちのことは主人にお任せして。
毎朝見る歯医者さんの看板で「歯医者さんへ行こう」と背中を押してもらえました。
早く治療ができてよかったです。

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